イルミネーテッド・アートは、アーティスト・ダニエル・ラッシュのアートブランドです。現在、家族とともにオアフ島に住みながら創作活動を行っているダニエルですが、ハワイに渡る前は、全く異なるキャリアを歩んでいました。

ダニエルは、アメリカ本土のハリウッドで、プロのメイクアップ・アーティストとして活躍していました。20年にわたり、ショービズの本場ハリウッドの映画やテレビの撮影現場で、有名な俳優やタレントたちにメイクを施し、多くの称賛を浴びてきました。

2014年2月の、とある日のこと。
ダニエルは美しい女の子を出産しました。母親になったダニエルは、撮影のために徹夜したり、スポットライトを浴びるといった生活に、急に興味を失ってしまいました。

「母親になったことで、私は永遠に変わってしまった」

きらびやかな世界にいるよりも、もっと子どものことを知りたい。でも、ロサンゼルスでの生活費を考えると、仕事を断ることはできない…。子育てと仕事をなんとか両立させる日々のなか、一本の電話が彼女に転機をもたらしました。

「それは夫にきた電話で、ハワイでの仕事の誘いでした。私は直感的に、ハワイに行くことはひとつの仕事のためだけではないと感じました」

2019年、ダニエルは家族とともにハワイに移り住みました。

ある日のこと。

ダニエルは、不思議な夢を見ました。人生を通して情熱を注いできた写真を撮影している夢でした。その写真をキャンバスにプリントし、さらにその上に何かを描いている自分。しかも、写真のハイライトと影の部分がキャンバスから飛び出しているのです。

目が覚めてからも、夢で見た不思議なアートのことが、頭から離れません。
オアフ島に引っ越して1ヶ月ほど経ったある日、実際に描いてみようと思い立ったダニエルは、写真をキャンバスにプリントし、ペイント塗料で描いてみたものの…飛び出すことはありませんでした。

しかし、とあるアイデアが浮かんだのです。まるで雷に打たれたかのように！

「長年、メイクアップでハイライトと影を描き、人々の顔をキラキラと輝かせてきたのだから、同じようにキャンバスにメイクをしたらいいのでは？」

アートペイント用の媒介素材に、メイクアップの素材を混ぜ合わせ、オリジナルの塗料を作りました。この塗料は、従来の写真や絵画にはない、全く新しい動きや質感を生み出し、ダニエルの「イルミネーテッド・アート」に命を吹き込んだのです。